1. 車輪(タイヤ)特性
車輪(タイヤ)の素材、硬度、形状は、スムーズな走行性、始動抵抗や旋回抵抗を左右します。
ゴム、エラストマー、ウレタンは、弾性があり柔らかめ。ナイロン、フェノール、ポリカーボネート硬度の高い材質です。
一般的に、車輪サイズが大きくなり、タイヤの厚みと柔らかさが増すほど、走行時の騒音は低減されます。
反対にタイヤの硬度が高い場合には、走行時の騒音が大きくなります。
ゴム | ナイロン | ウレタン | エラストマー | フェノール | 耐熱フェノール | モノマーキャストナイロン | ポリカーボネート | |
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弾性 | ◎ | × | ○ | ○ | × | × | × | × |
圧縮永久歪み | ○ | ◎ | ○ | △ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
耐摩耗性 | ○ | ◎ | ◎ | △ | ○ | ○ | ◎ | ◎ |
耐候性 | △ | ◎ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
耐油性(機械油) | × | ◎ | ◎ | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
耐ガソリン性 | × | ◎ | ◎ | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
耐水性 | ◎ | ○ | △ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ |
耐薬品性(弱酸・アルカリ) | ○ | ◎ | × | ◎ | △ | △ | ◎ | (◎、×) |
耐熱性(℃) | 70 | 70 | 70 | 70 | 120 | 180 | 120 | 120 |
耐寒性(℃) | -30 | -20 | -30 | -30 | -40 | -40 | -40 | -40 |
- 材質のみの一般特性です。キャスター製品の使用条件、環境など諸々の影響を受ける為、材質の選定あるいは判断の目安にしてください。
- ウレタンは、熱可塑性ウレタンの物性を表しています。
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ゴム
一般的に広く使用されている車輪です。表面硬度(硬度A59~73)が低く弾性を持っているため、凹凸のある路面でも安定した走行が可能です。
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ナイロン
耐薬品性、耐食性、耐摩耗性に優れ、軽量です。また、汚れの掃除が容易で、美しい外観を長期に渡って保ちます。
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ウレタン
耐摩耗性、耐荷重性に優れているので高い耐久性があります。また、油にも強く工場等での使用にも適しています。
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エラストマー
ゴム車と同等の弾性を持っており、凹凸のある路面でも走行性に優れ、床面への走行痕が発生しにくい素材です。
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フェノール
表面硬度が高く、長時間荷重をかけても変形がおこりにくい素材です。また、耐油性、耐熱性、耐圧縮性に優れています。
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耐熱フェノール
表面硬度が高く、長時間荷重をかけても変形がおこりにくい素材です。また、耐油性・耐熱性に優れています。耐熱仕様で、180℃まで使用可能です。
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モノマーキャストナイロン
ナイロン車輪と比べ、さらに荷重に強く、衝撃に対する耐性が向上しています。また、耐熱性と耐寒性も向上しています。
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ポリカーボネート
樹脂一体成型です。耐食性、耐摩耗性に優れ、透明の外観が特徴です。
2. 車輪素材の転がり・旋回抵抗
キャスターの始動、転がり、旋回抵抗は、車輪の材質や床材に大きく影響を受けます。
ゴム、エラストマー、ウレタンなど柔らかめの材質は、抵抗が高く転がりにくくなります。
反対に、ナイロン、フェノール、ポリカーボネートなど硬度の高い材質は、可動性が向上する要素となります。
◆ 車輪素材の転がり・旋回抵抗のイメージ図
※始動、転がり、旋回抵抗は下記要因の検証が必要です。
車輪径、タイヤの硬度・弾性、車幅(接地面)、偏心、ベアリング、耐荷重、床材など